本金糸ねり巻き名古屋帯(枡蔵順彦・夢訪庵)
今回は、色無地や小紋に合わせていただくおしゃれな名古屋帯をご紹介いたします

箔糸(はくいと)には、平金糸(ひらきんし)と撚金糸(よりきんし)があることは以前にもご説明いたしました
本来の平金糸は、和紙に金箔・銀箔を漆で接着した箔紙を幅一寸あたり20~60 分割して裁断した平らな糸です
その平金糸を芯糸に巻きつけるように撚ったものが撚金糸です
撚金糸には、丸撚り(まるより)、たすき撚り 、蛇腹撚り(じゃばらより)など、巻き付け方によって様々な種類があります

現在では本金箔を使った糸は本当に珍しく、手織りで織られるごくごく限られたものにしか使われていません
本金の平金糸は高価なことに加えて切れやすいことから、手織りでしか織ることができない上質な帯にしか使われないわけです

近年は本金の箔の代わりに、ポリエステルの薄いフィルムにアルミニウムなどの金属を蒸着(じょうちゃく)させて色を付けた箔を作り、その箔を細く切った平金糸と、その派生品である撚金糸が多く使われています
ポリフィルムの箔糸は箔焼けなどの変質がなく、織機(しょっき)でも織ることができるという利点があります
昔ならば手織りでしか織れなかったためにとても高価だった引き箔(ひきばく)の帯が、糸作りや織機の技術の進歩によってお求め安い価格で出来上がることは、これはこれで素晴らしいことだと思います
実際に現在市場に出回っているほとんどの帯が、これらの箔糸を使って織られています
一方、本金箔使いの帯は極端に数が少なくとても高価です
一昨年から和装品にも成分表示が義務付けられていますので、参考にご覧いただければと思います

今回の名古屋帯には、本金の平金糸が使われています
素材の質、織りの組織、センス、織り手の技術によって帯の真価が問われるわけですが
その素材感と組織の面白さ、織りの技術など、シンプルながらも心を奪われる逸品だと思います
枡蔵順彦さんが主宰する「夢訪庵」のお品です


本金糸ねり巻き名古屋帯(枡蔵順彦・夢訪庵)_c0211492_152993.jpg本金糸ねり巻き名古屋帯

この帯の魅力は、緯糸(よこいと)に織り込まれた二種類の糸の組み合わせの妙ですね
一方は、この帯用に特別に誂えられた本金箔の平金糸
和紙に漆で貼られた照りを抑えた本金箔は、本来ならば豪華な礼装用の袋帯を連想させるもの
もう一方は、四国伊予で手引きされたねり巻き糸
手引きで紡ぐ段階でわざとに極端な太さの違いをつけた紬糸は、およそ礼装にはそぐわないと思われるもの
相容れないと思われる二種類の糸を組み合わせることによって、こんなにおしゃれな帯に仕上げてしまうセンスに脱帽です
薄く平らな糸と極端に立体的な糸、この二種類の糸をすき間なく交互に織り込んで一枚の布に仕上げるには、熟練した手織りの技術が必要です
緯糸を一本織り込む度に、丁寧にすき間を詰めているのでしょう
無地風なのですがとても存在感があり、私たち専門家から見るととても不思議な魅力のある帯です
季節も年齢も問わない、そのシンプルさも素敵です
箔使いなので、小紋や色無地に合わせます
お茶席などにもお薦めしたい一本です
価格172.800円(本体価格160.000円)








本金糸ねり巻き名古屋帯(枡蔵順彦・夢訪庵)_c0211492_1103848.jpg


















本金糸ねり巻き名古屋帯(枡蔵順彦・夢訪庵)_c0211492_111377.jpg
























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Top▲ | by maruyo0236 | 2011-01-06 02:12 |
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